かずのこ/
灰泥軽茶
街中で知らない人と沢山すれちがう
わさわさ人
つつつ つつつ
つつつ つつつ
つらなる人と私
駅につきすれちがう視線
電車に乗り窓の外を眺めていると
つつつ つつつ
つつつ つつつ
つらなるマンションや一戸建てと私
一瞬のうちに何千何万人の人々の生活が
夕暮れの光を浴びて
私を照らす
穏やかで殺伐とした涙が
空虚で満ち足りた満腹感を得た笑顔が
一粒一粒私の頭の上に積もってゆき
かずのこのような細長い形となって
まえへうしろへゆらゆら揺れる
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