冬と走狗/木立 悟
墓地を沈めた水を揺らす
音は音に 交差しては消え
虫は土の階段を下りる
岩の七態
無人を見る目と見ない目の重なり
水を映す
羽の横顔
小さく巨きな食事のあとで
曇はふいに自身を語った
無数の季節を
呑んでも呑んでもひとりだと
風は岩の村を通り
少女をくりかえす少女たちを見る
うたを残して立ち去るまれびと
崖に散らばる骨の声を聴く
白は白を良く知らず
白へ白へ近づいてゆく
異なるもののはざまに降るもの
こがねいろに笑みつづけるもの
真昼と無音
逆さまに夢みて
いざないはいざなう
径に響くものの行方へと
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