左脳の時間/草野春心
 


  椅子の上に
  左脳がひとつ置かれていた



  色褪せた譜面から
  いくつかの音符はこぼれ
  床のうえでひょこひょこ跳ね
  透き通った窓は、わたしたちと
  青空とを隔て



  わたしたちは
  この無名の時間を
  ちいさな空箱の中に
  丁寧におりたたんでしまいこんだ



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