桜加減を もう一度/藤鈴呼
桜色のファブリーズ
求めたのは 春の 語らい
風が 冬の匂いを 撒き散らす
その代わりに
白が 消毒液を 連想される
場所を 離れて
もともとは アロマ成分を
重視してなかったそうな
主婦が 一吹き 部屋に
パシュっと 放つのは
日頃の行いを 振り返る瞬間と
何故か 重なるのね
雑巾という名前は
何だか 雑な布のイメージで
あんまり好きに なれないんだ
と 言いながら
カラフルな ステッチを
繰り返す
自然に 紡がれた 花一輪が
心に 浮かぶ船
汚い床を 綺麗に磨き上げようと
液体を混ぜて 拭き込んだ
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