さいごの狙撃者/
梅昆布茶
死骸を踏み越えながら
不穏な使命を全うするために窓をあける
そこから見えるのはいつもの雲と空だった
かなしいほどにいつもの空だったのだ
蔓延した地上の楽園は機械音をともなって
今日も回転を続けて時を破壊してゆく
撃てない狙撃手は今日も
見えない標的をさがしている
自分を狙撃手に産んだなつかしい匂いのする
それでもいつかは撃たねばならない
いとおしい混沌に向かって反逆する
最後の不穏分子であるために
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