さいごの狙撃者/梅昆布茶
 
死骸を踏み越えながら
不穏な使命を全うするために窓をあける

そこから見えるのはいつもの雲と空だった
かなしいほどにいつもの空だったのだ

蔓延した地上の楽園は機械音をともなって
今日も回転を続けて時を破壊してゆく

撃てない狙撃手は今日も
見えない標的をさがしている

自分を狙撃手に産んだなつかしい匂いのする
それでもいつかは撃たねばならない
いとおしい混沌に向かって反逆する

最後の不穏分子であるために




戻る   Point(19)