さいごの狙撃者/梅昆布茶
 
散らかった新聞紙やカップヌードルの食べ残しに紛れて
暗号が見え隠れするこの部屋で心の銃をみがく狙撃手
ぼくらは思想をもたないトラブルメーカー

いまさら乱数表でこの世界のキーワードがやりとりされるわけもないのだが
スパイだらけの世の中でぼくらは正統派のならずもの

酒を浴びるほど飲んでそのあとに新しい世界が待っていると思うほど
無邪気な悪漢ではもういられないのだがそれでも

割れたガラスのきらめきの真実を読み取ろうとするそのせつなせつなに
零れ落ちるきみたちの血を忘れたくないと思うのだ

自らを検閲する魂の狙撃手は
いまくもった眼鏡を磨き上げてかつて待っていたものの死骸
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