光の遍歴/木立 悟
ふいにすべての影がまばたき
風がひとりだけ東へ動いた
野のはずれに赤が降り
子らは互いの手のひらを見つめた
山の中腹から星は集まり
壁に刺さり
地に刺さり
じっとしている
音も色も縦になり
階段をのぼるものを染めてゆく
むらさきときみどり
針の震えとはざまの空
光のうつろ
文字のうつろ
つなわたりの順番
夜の終わりまで並びはのびて
蜘蛛が蜘蛛を呼び
時間を止める
指の深さだけ
夜を探す
ひとまわり小さな
灰とみずいろ
あきらめられた子のように
明るくさみしい廃墟をすぎる
鉄の日時計が陽
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