旅の話/カマキリ
 
こじんまりと武装した基地に
カラフルな戦車が納入されるのを見た
おれは関係ないと言われるのがいちばん怖かったので
納屋の隅で嵐の日に打ち捨てられたフランスパンを手にとった

何かを忘れるのが嫌でシャッターの代わりにまばたきをしていたんだけど
このデタラメは悟ったスフィンクスみたいな顔をした男から聞いたのだ
どこが痛かったのか覚えていない
どうやってぶつけたのか覚えていない
おれは身の丈ほどのアザと言い訳を見繕って
頭のよくなる新聞を買いに行った

明日は野球選手が魔法のカーブを投げるらしいので
おれは虹を出す仕事に就くつもりだ
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