がらくたくだり/ホロウ・シカエルボク
が近くて、夜は平日だろうが週末だろうが必ずタガを外した連中が何事かを叫びながら通り過ぎてゆく。それがおれには蝉の声のようなものに聞こえる、いや、それはたぶんきっと同じようなものなんだ。みんみんみん、じーじーじー、つくつくぼーし。そういやあっというまにツクツクボーシの声を聞かなくなったな。居なくなるんだよ、鳴くだけ鳴いたら、居なくなるんだ。シンプル極まりないじゃないか。詩人なんか年がら年中鳴きまくってて、それでも少しずつしか死んでかないっていうのにさ。だらだらと生き残って、だらだらと綴っているっていうのにさ。だけどしゃあねえ。それは構造っていうもんだからな。いまさら、若くして死ぬことを美しいと思って
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