そうしてぼくらは止まらない話を/nm6
[唇がはなれてことばを、すべりだす。昼過ぎのガラス窓に緑色がぼやけて逃げる畳の、角に埃、ふわらふわら舞う。涼しく吸い込み、からだの中を撫でて回るやわらかな無が、人たるぼくのこめかみの先まで届くらしい。脳?ノウ。とにかくそう、ぼくら隙間ない命令系統。そうしてひと通り染み渡らせると、詰まって震えるそこから何もかも、無と一緒にすべりだす。セイ、ア・アー。何もないよ。]
20分、珈琲の味、新宿区。走り去り行く交差点の黄に、ヒールリフトで背中を滑り転げるボールのつるべ落つ陽。暮れて足早の、知らずの背中に映えるオレンジそのスーツの金糸をほどいてたどる、空の裏側に溶けて消える願望の果てのいつの
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