遥かな灯/ただのみきや
なら
灯台になるのも悪くはない
闇の中で行き先もわからず
たった一人震えている者に
あきらめるな こっちだぞって
光を照らしてやれるなら
そう それがやりたいこと
そんな人生を送りたかった
見えてきた
わかってきた
これが進むべき道
これが 自分なのだ 」
ゆっくりと 力が抜けて
ひとかき 最後に手を伸ばし
微かに 灯の熱を感じては
そのまま 静かに――
自分の道を見つけた者は幸いだ
たとえ たどり着けても
着けなくても
遥か遠くに輝くものを
笑って心に握っている
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