遥かな灯/ただのみきや
 
大海原の真ん中で
 立ち泳ぎ
途方に暮れて日も暮れて

せめて目指すべき陸地が見えたなら
それが遥かに遠くても
そこに向って進もうと
いのちの限り泳ぐだろう

だが今 四方八方 
変わらない 虚無だ

ここで力が尽きるまで
沈まぬように手足を動かし
風に漂うカゲロウのように
潮に流されるクラゲのように

それとも 一か八か
運と勘で勝負して
真っ直ぐに泳いでみようか どうせ
いつかは死ぬ身 早いか遅いかの違いだけ

全てが闇に包まれると 
                 
    ――このまま 沈んでしまえたら…… 

人生を振り返る 誰が悪い
[次のページ]
戻る   Point(16)