遥かな灯/ただのみきや
大海原の真ん中で
立ち泳ぎ
途方に暮れて日も暮れて
せめて目指すべき陸地が見えたなら
それが遥かに遠くても
そこに向って進もうと
いのちの限り泳ぐだろう
だが今 四方八方
変わらない 虚無だ
ここで力が尽きるまで
沈まぬように手足を動かし
風に漂うカゲロウのように
潮に流されるクラゲのように
それとも 一か八か
運と勘で勝負して
真っ直ぐに泳いでみようか どうせ
いつかは死ぬ身 早いか遅いかの違いだけ
全てが闇に包まれると
――このまま 沈んでしまえたら……
人生を振り返る 誰が悪い
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