最後の一分/佐々宝砂
 
果てた地球で抵抗し続けて

だったはずだよなあ
地球にはまだ
はっさくという植物が生き残っていたのか
それとも

おれは何に抵抗しているのだろうか
耳が聞こえない
目が見えない

わからなくなってゆくわからなくなってゆく
白熱する光のなかガブリエルの角笛の音
そんなものは感じない
いやおれは
そんなものを聴くような人生を送ってはいない

はっさくの香りがする
はっさくの香りがする

かあさん
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