宛名のない手紙/動坂昇
ら扱いするのではなく、あなた自身の残虐性と、戦わなければならなかったのです。あなたが、ほんとうに、たとえば関東大震災の直後にあなたたちの同胞を虐殺した日本人たちのような悪魔になりたくなかったのなら、あなたは、彼を、いじめてはいけませんでした。
私は、いま、涙を流しながら、これを書いています。とても悲しい。大人の社会がずっと解決できずにいる問題を、あなたたち子どもが逆転させて繰り返してしまった。いじめを見過ごしてきたのは、周りの生徒たち、学校、教育委員会、警察だけではなかった。私たちそのものでした。
大人の社会でのいじめを見過ごしてきた私たちも、気づかないうちに悪魔になってしまっていたのかも
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