朝の声/木の若芽
 
幸せなこと
たとえば草の露に星を見え
木のざわめきに海を聞くように


あの鳥の声は
明るい朝日のさす屋根のてっぺんで鳴いている
なんてそれにふさわしい鳴き方だろう
人のわたしにもそうとわかる
あの鳥の声は朝の歌だと

その時刻々を
それに最もふさわしく歌う鳥の天性を
ひとしずく心にしみこませるか
影を焼きつけるか
香りを移すか
一枝挿し植えるかするように
分けてもらえないだろうか

   ***

この鳥の声を体が記憶します
喜ぶことを望まれている朝
安らぐことを望まれている夕に思い出すように

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