朝の声/木の若芽
朝は不思議なことがいろいろわかる時です
昼間 木は木なのですが
朝 木は宇宙だと感じるように
でも夜はまったくわからない謎の時です
いったいわたしが木なのか 木がわたしなのか
***
熱帯夜の翌朝
新しい初めての未知が今から始まる
いまだに世界中を知らない
だから小さな一つ一つに気づいていきたい
一本一本の木の形がくっきりと見える
あんなに一本一本が安らかにそれぞれの形を
空に浮かび上がらせ刻みこんでいる
雲のすじに 森の木が重なり
遠くが近く聞こえ 近くが遠く見えたら
自分がどれくらいの大きさなのかわからなくなる
でもそれはとても幸せ
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