夜のぬかるみの中で不十分な手入れの銃を構えている/ホロウ・シカエルボク
痺れを切らす午後が
薄皮を穴だらけにする
口の端にこびりついた
昼の餌の放つ臭気
洗面で洗い流して
あとかたもなく洗い流して
遮光カーテンの向こうで
目も合わさない今日が暮れていく
開幕ベルみたいに蝉は鳴き続けるが
今日の演目は白紙だって俺は知っている
少し身体を動かしてシャワーを浴びると
腰を下ろして音楽がどこかへ流れていくのを聞いている
郵便物が届いたかどうかポストを確かめに行ってもいいが
そろそろ同居人が帰ってくる頃だし
急ぎのなにかが届くような話はないから
仮に誰もそれに気付かなくても
仮に誰もそれに気付かなくても
役目もクソも
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