君を待ち続けて/灘 修二
天を仰いでなんど君の名を呼んだことか
だが、君の麗峰まで声は届かない
君は雲に隠れて、姿を見せない
君は、雲を従え、引きこもる
湖畔で、日が暮れるまでひとり君を待っていた
夜が来た
だが、君は来なかった
夜の帷は、人々の喧噪をかき消して、窓の明かりは人々をちりぢりにする
君は、大きな存在を夜空に隠して、ため息をもらした
わたしは、人々より前にここにいた
この世の始まりとともに、ここにいた
人々がここに来て、私は隠れた
人々の営みなど知らない。わたしは街を何度もゆらし、壊した
怒りを静めることなど知らない。わたしは何度も炎を吐き、街を焼いた
朝が来た
だ
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