都営団地の屋上で/馬野ミキ
 

ダンボールの上でしばらく寝転んだ
甲子園の中継があっちとこっちからステレオで聞こえる
遠くで誰かがお経を唱えている
太陽は白から銀色になりそうなくらい震えている
なんて圧倒的に存在しているんだろうか
俺はキムから奪ったサングラスで太陽を見つめた
太陽はどういう人生を送ってきたのだろうかと思った
それから目をつむった
セミたちによる求愛のオーケストラに身をおいて、寝た。





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