ふと/マーブル
ドルは甘く消えた時に燈る あたたかで見えない暗闇の中
わたしは遠のいていてく季節を幾つか数えたら ひらいてみる 淡い暗がりを
きっとあの日のサルビアは 声を聞いていた 物静かに目をとじキーンと澄まして
夜の散歩道オリオンが云った
疎らな呼吸の光り
素足で歩いたら
跨いで星まみれになりなよ
ふと
夜の風景に花びらが舞い降りてきたら あのこの可愛い寝息ひとつが 花びらなのかもしれぬと
そんなことを想像してみたんだけれど そうだったら 一瞬わたしも瞬けるのかもしれないと
硝子の胸の窓にそっと 招き入れてみたいなと思ったんだ てのひらはあっという間に花畑
おやすみなさい と水槽の明かりも落として みんなすやすやすくすく寝息を彩る
波音のリズムで しゃぼん玉をよなよな吹いているのかもしれない
水浸しの夜明が降りてくる
その時は魚のような意識で
ゆめの海底から顔を出す
まるで何も描かれていない
スケッチブックのような白さで
ふと
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