ふと/マーブル
 

ふと


白い屋上で見えた風船のいろとりどりが 胸に散らばった 
わたしのこころが 無数の風船なら 空でゆめをばら撒くんだろう
ばら撒いたゆめはどこかでだれかに食べられる 仄かな奇跡を贈るように
胸いっぱいの溢れる水色が一度だけ わたしの体に透きとおる
季節はあの雲みたいに 額に冷たく とおりぬける透明な風のようだった

汗ばんだ月が溶けそうだ
涼しい顔をしながら
宙ぶらりんの
不確かな言葉をてらす

ふと


ここにいるよと教えてくれるのは うかびあがる 細い月だったり
信号機の青がみずたまりに映るときだった 足元と空中の憧れみたいだ
力つきたキャンドル
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