夜わたる夜/木立 悟
 




むらさきの家具
光の終わりの
粉と冬


星や海や
息の位置
誰が花でも
花を咲かせゆく
どれほど苦しい
苦しさの夜にも


光の角が
片目からだけ伸びてゆき
もう片方は
見ることしかできず


   わたしには
   何もありませんでした
   たとえすぐそばに
   何かがあったとしても


   音と音の冠を
   受けては流す涙には
   何もない ただ
   何もないのでした


極北に至らぬ白夜から
月へ月へ柱は飛んで
まだら まだら 
死に近いよろこび
わずか二色の永いうつろい


夜の花のな
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