夜よ ご機嫌麗しゅう/ただのみきや
不安になって夜も眠れないらしい
それで悪循環が続くから 今では自分が
自分でないことにだけ確信が持てる始末
もともと自分などあったかどうか
ああ もうこれ以上かわいい人形たちに
自分のかわりに身投げをさせることはやめてくれ
真昼間の表通りに落ちて行く悲しい人形たち
皆が手垢を着けて弄り回した欲望の玩具
ビルのガラスに一瞬映る無表情ほど悲しい顔はない
噂は青い鳥 巡り巡って戻ってくるから
何羽もこさえて飛ばしてみた
人は限りなくゼロに近い存在で
光の加減で幸福と不幸に自分を色づける
消え去ってしまう そんな夕べに戻って来ては
奇妙な土産話を聞かせてくれるのだ
妄想空想余念がないこんなわたしの絵空事
大したつまみじゃないけれど
よかったらまた寄ってください
この天窓は壊れていて閉じることはありませんから
働き者の人工衛星たちによろしく
では ご機嫌よう
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