夜よ ご機嫌麗しゅう/ただのみきや
夜よ ご機嫌麗しゅう
少し話していきません
ぬるい時間をちびりちびり
ロッキングチェアで揺られるような
取りとめのない浮世のことを
露出狂の政治家たちが
脂っこいことばを吐き出してはそれを
ズルズルと啜るようにまた食べてしまう
そんな悪趣味なニュースに見入っては
未来のあなたのドレスを想像してみる
月も星もないその日
喪服のあなたは地上を見下ろして
やっぱり変わらず微笑んで
歯型や爪痕のついた大きな墓地に
冷たく口づけするのでしょう
電車や地下鉄に積み込まれる人たちは
自分の眠りを置き忘れたり取り違えたりで
今朝方見た夢が本当に自分のものなのか
不安
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)