(批評祭参加作品)お姫さまのキスを返せ/いとう
 
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 読者が発想の力を試される作品がある。しかも無自覚に。そういった作品は概して、あたりまえでないことをあたりまえのように書いている(書こうとしている)のではなく、「あたりまえ」という概念(ものさし)から解放されているものが多い。
 読者は、ここで試されてしまうのだ。このものさしを無意識に使用しているかどうか、このものさしを自覚的に外すことができるかどうか、その点において。
 
あたりまえでない世界を構築していることが素晴らしいのではない。それは見えているものであって見せているものではない。作者はそ
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