種を蒔く人/
岡部淳太郎
それらのひとつずつを赦していった
空はいまや雨の痕跡も見せずに
広く晴れわたる
いつまでもつづくかに見えるその陽光の下
まだこれからも
咲いてゆくのだと思って
種を蒔く人がいる
時の上に 萌え出るものと
萌え出ないものとがあり
そのはざまで
流れる大地に足を取られそうになりながらも
その人は種を蒔きつづける
ひとつずつ 丹念に数えながら蒔く
その人こそが
すでに種である
すべての人と
その思いが
種であるのと同じく
(二〇一二年七月)
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