種を蒔く人/岡部淳太郎
 
まだこれからも
咲いてゆくのだと思って
種を蒔く人がいる
空がこときれたように
雨がとつぜんやみ
後には思い出のように風が流れていた
大地もしっかりと
流れていて 古い
しきたりの中で
売ったり買ったりされ
そのために種も
さまよってしまう
思い出のために捧げられるものであったとしても
花は咲かなければならぬ
その匂いのために 虫は
わずらわしくならなければならぬ
だが流れる大地の底には
いくつもの芽吹くことのない種があり
人は時おり
そのことを思い起こす
そのままで眠りについてしまったものたちは
石のかたわらでそれまでの
すべてのあやまちを思い
それ
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