道を掃く人/岡部淳太郎
陽の輝き
それらもいまはもうない
風が掃きあつめたものを乱しては
通り過ぎて行っても
その人はまた同じように
掃きあつめてゆく
もはやいまがどの季節かも
わからなくなっているから
もうこれからは
咲かなくてもいいと思う
道を掃く人の頭上
とても高いところで
風が何度も吹き荒れるが
それに乱されることはない
雨とか 雪とか
あるいは雹や霰 雷などの頼りないもの
それらを信じる弱さのために
それでも咲こうとするはかなさのために
その人は道を掃きつづける
(二〇一二年七月)
戻る 編 削 Point(8)