ドラディヤの錬銀術師/高原漣
 
)のは廃火歴464年のことになる。

当時対立を深めていた魔術ギルドと錬金属術クランの抗争に巻き込まれた彼女は、簡易工房として根城にしていた安宿の部屋を間違われ、雹術使いに命を奪われそうになる。

突然の襲撃に、誤解をとくことも、相手を説得することもできなかったのだろう。(部屋の様子がいかにも金属術クランの術者が構築する工房然としていたのもまずかったのかもしれない)

少女はとっさに攻勢術式を描き、逃げ出そうとした。(術の副産物である変成光で目眩ましを計ったか?)

ところが、ろくな描式もせずに放った錬銀術が、相手術師の回路を逆流し、通常はたいへん難しいとされる非金属の金属化(錬銀)に成功したのだった。

この一件で雹術使いを半殺し(彼は銀の彫像のようになってしまった)にしてしまったエスメラルダは、魔術ギルドから追われる身となる。


(チャイムの音)

今回はここまで。レポートの提出期限は灰色熊月の7日まで。それではごきげんよう

(椅子を引く音、学生たちの談笑する声)

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