盆の即興演奏/風呂奴
盆の即興演奏
磨き抜かれた墓石のように
重厚に広がる天の平野
夜空は シャンペン色の発疹を患っていた
星の高熱も 青年の村落へ墜ちるころには
地上はすでに 輝きを唄っている
いたるところで。
夏の夜半
鈴虫の輪唱が
風をかすめとる
南の空に閃光が走り
音のない花火が夜空を揺らす
昼間 日光をたいらげた
ふくよかな樹木の悠然は
収穫前の巨大なナスのように
暗闇を蓄え 持ち場を離れず
どっしりと構えている
ライオンたちは
サバンナの陽気ごと
図鑑の中で死んでいた
空き缶とライター
ギターとテッシュ箱
汗ばんだシーツと雑多なメモ
部屋中に散乱
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