ねどこの朝/……とある蛙
朝
寝床の視線の先の廊下に
猫のたたずまい
こちらに顔を向け
黒猫の視線の先の寝床に
飼主のたたずまい
顔を猫に向けた飼い主の胡乱な視線
あくび一つ
寝床の頭上の先に
開け放たれた窓
窓の外枠に朝の息遣いのようなそよ
朝の頭上の先に
開け放たれた宇宙の星たち
青のカーテンが覆う宇宙の息吹が暗転
あくび一つ
寝床の足下の先に
口の開いたカバンが一つ
自分の諸々が乱雑に収納去れパンパン
夏掛けに盛り上がる腹の中の収納庫が
カバンの底の底と同じ機能で
赤黒い内蔵
ぬめりぬめりと悪意が収納され
あくび一つ
水を飲むボトルの曲面に
世間の様子と自分の顔
歪んでいる訳ではない
凸面に映ずる浮腫んだ昔
空元気 空 元気な夏の空
そろそろ ぐずぐず
起床
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