生贄/コーリャ
 
いだになんども死にながら

うつくしかったものをひとつづつていねいに忘れていった

ショートケーキでできた地上に

アイシングシュガーとして流星群の爆撃はふり注いでいた

大気圏を突破したじゅんから

虹色のばくはつをおこす

戦時中にもかかわらず

ひとがしんだりするにもかかわらず

彼女はそんなところからわらいかけてる

流れ星をそのてのひらにうけとるごとに

地平線が歌うみたいに仄かに光る

そう 滅びるってこういうこと!

彼女は駆け出す

もう

うごかないオルゴールみたいな

うごかない遊園地の

うごかないコーヒーカップ
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