拳/
千波 一也
ひとを
見下し笑えたら
わたしの優位が成り立ちそうで
ひとを
けなして罵れば
わたしの優位が守られそうで
拳は
きょうも独りきり
石くれ気取りも甚だに
閉じたつもりの
孤独をさらして
拳は
きょうも
虚空のなかで
わたしの望みを
掴みそこねる
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