水面/
灘 修二
私がなくなると、私の中の水面は消えてなくなる。
私がなくなっても、流れる河の水面は存在する。
私でなくてもいい。
誰でもいい。
この地球に沈黙の春が訪れ、
誰もいなくなっても、
河は流れ、
水面は存在するだろう。
誰もいない最果ての極地に
まだ誰も見たことがない紺碧の水面は
誰も写し出しはしないが、
水晶のように輝いている。
水面はどこかに存在している。
水面はどこにも存在している。
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