女って/まーつん
 
大なペテンのように
世界全体を使って描かれた 色も形もない まだ誰も見たことのない

一枚のだまし絵 

女はそれを見回し 目を凝らし
見極めようとする 愛の真実の姿を
生まれ落ちた瞬間から 地に倒れ伏すその日まで

そういう生き物は 必然的に 美しくならざるを得ないのだろう
たとえ傷だらけの肉体をまとっていても その心は いつも 求めているから

闘いつかれた男達の城壁に その石積みの隙間に
蔦を這わせ すべり込ませて ついには崩落させてしまう 

女の優しさ その温もり

暗く冷たい地を覆い
群れ集いながら
また 孤独でもある
たくさんの 野薔薇のように

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