僕が君を一匹のみすぼらしい蛾に譬えたなら/ただのみきや
垂直な光のピンで留められて
横たわる朝は散乱した昨夜の屍だった
まだ誰もいないスーパーの駐車場で
ぬるい風が砂埃を吹き上げている
一匹の小さな蛾が
逆らいながら飛んで行く
よろけながら小さな翅を震えさせては
惜しむこともなくいのちを削って行く
僕が君を一匹のみすぼらしい蛾に譬えたなら
君は怒るだろうか
うす汚い嫌われ者の虫けらに
たった一人 砂漠を渡る旅人のよう
白昼に引き出され さらし者にされても
真っ直ぐに顔を上げ続ける反骨者のよう
君こそが
僕の心の錆びついた鐘を響き渡らせた
透明な鉄槌
僕を闇の向こう側へと駆り立てる
真夜中の遠吠え
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