ココナツ・ブルー/草野春心
 


  ココナツを叩き割ると
  青い空がちゅるりとこぼれた



  そう、
  キミはいつも
  輝いているものを
  見かけるたび猫のように
  是非もなく追いかけた
  生い茂る夏の緑
  蒸せかえるような、
  あの日のわずらい



  でも
  太陽は、
  キミの真っ黒な影だけを
  はっきりと僕に見せつけたんだ
  手でさわれるほどのきめ細かさで
  そんなふうに女に
  女というものに、
  キミはなっていったね



  ココナツを叩き割ると
  青い空がちゅるりとこぼれた
  振り向けど影しか見えない
  あの日のわずらい




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