いつかくる終わりに向けて引き金を引け/高原漣
 

いつか私が寝台で

眠るように死んだなら

意思を持った肉切り庖丁がきっと

私のことをバラバラにするだろう

肉切り庖丁はこうもり傘と友だちで

その彼女は実はミシンかもしれない

ミシンは偶然手術台の上で会ったこうもり傘と恋に落ちたのだろうか

でもミシンはレズビアンだったのだ

そしてミシンのほんとうの彼女はアイロンだ

アイロンは私の白装束をパリっとしてくれて

きっとそれは天使の羽根にみえるだろう

それからB寝台は焼場へ発車するけど

さいごのさいごの引き金は

愛しのあなたに引いてほしい

十三階段登る音、

そんなリズムで引いてほしい
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