まえのばちゃん/
salco
や裁判なんて縁遠かった時代だ
原状復帰された後も
通りから見る限り
更地の向こうに花々の色はなく
ひょろ長い裸木だけが立っていた
女の子達はもう行かない
もう小学生ではないから
たまに見かけるまえのばちゃんも
どこか険しい虚ろな目をして
私達には気づきもしない風だった
いつしかその家も取り壊され
同じ高さに整地されると
木蓮の樹も消えた
二軒分の敷地は広々した二階建てになり
私はまえのばちゃんを忘れた
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