I'm hungry/アオゾラ誤爆
を見ていた。いつも彼は冷たいものも、温かいものも、ずいぶんとゆっくりと飲む。いかにも嗜むといったふうに扱われるその液体を、私はしばしばうらやましいとすら思う。
「どうしようかな、飛行機でも、バスか、新幹線は帰りに使うし」
「なにを重視して決めるの? 快適さ、はやさ?」
「そうねえ、ただ、どれも一長一短でさ。飛行機は乗りたい機体があるけど、伊丹に行くのしかなくて。僕は関空がいいんだけどねえ」
ふうん。必要以上に興味は持っていないかのような相槌をしながら、私の頭の中は甘い分泌液でいっぱいになっていた。ものごとへのこだわりの強さ、というのは、私が恋人について最も好きなところのうちのひとつだ。移動
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