ごくありふれた美しい東京の風景/きや
 
おれは駅の改札を通った。

周りには汚い小娘やスーツの老人、けしからんほど短いスカートを履いた猿なんかがひしめいていて本当に嫌になる。最近腰が痛むんだ。

電車は驚くほど空いていて、あの人混みは何なんだと考えたけどよく分からなくて(実際はトイレに長蛇の列を作っていただけ)窓から見える陳腐なラブホテルの看板を蹴り飛ばしたい衝動に駆られた。一緒にあんなホテルに行く可愛い女の子を紹介してくれよと、隣のサラリーマンに話しかけたら驚いたことに、首から上がマグロの頭部そのものだった。ああ、刺身を食べたいんだ。
立っているのも辛くなっておれは思わず座り込んだ。頭がガンガン痛んで、眼がチカチカする。

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