ウテルスから/黒ヱ
 



望まれて 芽生え 咲いて

一つの中に 共に 眺めて

此処に 連れて来たのか


望まれずに かたち 出来て

繕われずに そのまま 萌えて

此処まで 来てしまったのか


あなたは どちらを 答えるか


「お母様 何処へ行く」

「私の素知らぬ香り」

「独りは嫌だと鳴いていたっけなぁ」

「それなのに それなのに」

「いつも何処にいるのか」


「ああ だが やはり 愛してこそ」

望まれて 産まれてきたはずなのに

愛を知らず 鬼子と呼ばれ

貫かれ 見放され 

それでも ただ一つのもの しがみ付きあう

もう全てのものを 濁って見てしまうよ

こんな 遠いところまで 来てしまった

まだ 探し 求めている

未だ 持て余しの時があるから

いつか 漠然と簿やけたものを つかめると信じて

「愛を」

誰か ぼくに 愛を


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