まやかしの海へ沈め/きや
 
誰も苦しんでいるのだ。熱い岩に放り出されて、良心と岩の狭間で脚をくじいたりする。眼をぎらつかせた出来損ない共が身ぐるみを剥がしにくる。私はそういった事に備えて矛やら盾やら、様々な言葉で武装しているのだ。鎧の一枚下は灰色の、ブヨブヨとした感情のゼリー。嫌われてしまわないように綺麗な鎧でラッピングしている。熱も伝わりにくい鎧で、中身が沸騰することもない。ゼリーは冷たい方が美味しくいただけるからだ。物事の表面しか見ていない君達には沸騰するほど考えても分かるまい。
戻る   Point(1)