エア・ポケット/梅昆布茶
涙はでなかった
ただ母は去るもののかたちでぼくに
彼女としての最後の威厳をみせたのかもしれない
僕は子供を育てる
母のベッドの部屋がたぶん子供部屋
僕は働いてちょっぴり詩みたいなものを書いたり
好きな音楽をやったり
もう恋は無理と言いながら
あと15年をいきるのだろうな
下手な詩を迷惑をかけながら
読んでもらう甘えん坊のままで
でも母はきちんと死のかたちを示してくれた
僕もきちんと死のうと思う
やり残したこととか
人生で一回ぐらいはもてたとか
つまらないことをいっぱいつぶやきながら
逝きたいのだが
娘たちのしらけた顔が眼に浮かんだりして
自称の詩人もめいわくだけれど
うざいだるい意味不明の同居人で
それもまあいいかなと思っている
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