存在か無か/
灘 修二
働き蟻は
来る日も来る日も
自分の躰より大きい
荷物を運んでいる
汗も流さず
陽照り返す地面を這い
黙々と働いている
一匹の蟻が仲間を離れ
甘い蜜を求めて
迷っている
ここらで休もうかと
影を求めた
美女の影法師に入った
涼しい風
流れる髪
香水のにおい
おねえさん、きれい
と話しかけたら
足で踏みにじられ
わたしはこの世から抹消された
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