アスピリン・ソング/由比良 倖
ま一秒見つめ合えたりしたなら、そうだな、奇跡だな、
そうしたら、その瞬間僕たちは生きていて、
すべての否定形の中で、感情なんかまったく抜きにして、僕たちは穏やかで、
この宙のどこかにある、中和なところで、ねえ、生きているよ、
そうしたら歌おうよ、詩を読もうよ、僕たちは生きていて、
臨床的な印象の象徴的な解釈とか、そういうの、
殺してしまって、心象と微笑だけが降ってきて、
第一のところ、光だけが実在なんだ、光だけ、
そう、もうただ光だけが実在だし、それ以外の物憂い解釈は、
来世紀にはもう死んじゃってればいいと思う、
いや、もうこの場で言葉を捨てろよ、
それから顔なんかは
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