逆境に強くあれ/灘 修二
 
俺は真夏の太陽に打って出た
ホームランバッター。
必ず一球目で決めると予告して
素振りをはじめた

真夏の太陽は
額にぎりぎり照りつけ
気を失わせるどころか
俺を強くする

1000回素振りした
それでもたりない
数秒も狂いはしない太陽時計に
挑むには全然足りない
一万回、二万回、三万回……
バットを振った
汗の雨が降った

太陽が傾き夕日になった
浜辺はなぎさ音を奏でた
警官が来て俺を拉致した
棒の振り方が違うといって
警棒で俺の頭を一発で割った
浜辺は真っ赤に染まった

待ってくれ
太陽よ、俺の太陽よ……
真夏の太陽は無常だ
海に沈んでも溺れはしない
ここで死んでたまるか

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