冬と息/
木立 悟
わずかにからだに残った塵の
示しつづける色と夜をゆく
燃え上がる腕の
炎の先
いくつもの扉が
川を流れる
氷が氷を咬む地から
曇は仲間はずれの名を呼ぶ
多くは応えず
名ではない名を書きしるす
常に水や鏡に居ながら
姿を裏切るものは裏切り
かさぶたの国の虹と去る
少し硬くなったつまさきで
午後にも夜にもなれぬまま
けものは糸を歩いている
冬は冬の目のなかに
いのちを捨てたり植えたりしながら
息の指をたなびかせている
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