午後 (remixing 高村光太郎)/瀬崎 虎彦
網膜に散る黄金 滑らかで冷たい肌
葉擦れよりも耳に優し 純白の柔毛
広く伸びやかで健康的な 処女の背
乾ききった僕をものともせず抱く泉
貪欲に求め飽くことなき 白い悪魔
粘性の高い欲望に足を取られ 夜を日に
お互いを気高い獲物のように貪りあえば
隠喩を置き去りにして 時間こそ尊い
君の瞳の奥に無数の将来を描く
腐敗するグロキシニア 炎熱の果て
そのひとつひとつ いずれも寄る辺ない空に
不安を糧として生きるわれらの
安息に忍び寄る
致死性やんごとなき午後 散華
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