越境するとき/木の若芽
 
「越境するとき」     木の若芽


鳥たちの最も自由なのは夏の朝5時だ
雲も人もなく光満ちるばかりの時よ

もしも魚が鳥のようにさえずり歌えるなら
どんな音色を響かせるだろう

魚たちに花というものを見せてやりたい
まるいまるいまなこに
どんなに不思議に映るだろう

熱帯魚は鳥にたとえるより
蝶にたとえる方がよいかもしれない

なんていうことだろう
海の方が大地よりも広いのを忘れていた

気がつけば
私は永遠を求めて
移ろい越境するそのときそのことにひたるのだ

死さえとっておきの楽しみではないか


戻る   Point(2)