越境するとき/木の若芽
「越境するとき」 木の若芽
鳥たちの最も自由なのは夏の朝5時だ
雲も人もなく光満ちるばかりの時よ
もしも魚が鳥のようにさえずり歌えるなら
どんな音色を響かせるだろう
魚たちに花というものを見せてやりたい
まるいまるいまなこに
どんなに不思議に映るだろう
熱帯魚は鳥にたとえるより
蝶にたとえる方がよいかもしれない
なんていうことだろう
海の方が大地よりも広いのを忘れていた
気がつけば
私は永遠を求めて
移ろい越境するそのときそのことにひたるのだ
死さえとっておきの楽しみではないか
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